前回における、お耳の病気その6では耳なれない言葉や単語を並べ、申し訳なく思っています。
ただ、私にとっては目次の様な前回の記述が最も重要な事とも言えます。
忘れがちな、ともすれば日頃の診療で省いてしまっているかもしれない
【大事な何か】を確認するのには都合が良い教材のようにも思っています。





では、お約束させて頂いた様に前回の内容を数回に分けてひも解いてみたいと思います。
要因(素因)における先天的要因(素因)とは?
これは、【外耳炎になりやすい条件をもって生まれたという事】になるかと思います。





耳道や耳介において耳を正常に保つ努力をしなければならない形や状態になってしまっている場合であり、
例えば‥


【耳介が大きく(重く)垂れ下っている】
そのため、風通しが悪く蒸れやすく、バイ菌が増えやすかったり耳道内の異物などを出すことに難があるなどで炎症が起きやすいように思われます。

【耳道が平たかったり細く狭かったりする】
こういった場合は、少しの炎症で耳道がふさがってしまったり、あるいはそのため奥の炎症における進行が激しく、中耳その他に波及するなどがあるように思われます。
また、治療においても外用治療がむずかしく(奥まで薬が入り難いなど)
内服などの治療を要する事がある様にも思います。(場合によっては外科的治療も!)


定期的に通院し、耳道洗浄や薬の塗布などを行い、炎症が起きないように心掛ける。
特にシャンプーや頭部がぬれるようなことがあった後は、その日のうちか、できるだけ早めに処置を行う。


【耳の中に毛(耳道被毛)がたくさん生えている】
そのため、蒸れやすい状態になり、ばい菌が増えやすかったり耳道内の異物などを出すことに難があるなどで炎症が起きやすいように思われます。
砂漠より密林のほうがばい菌やダニも住みよいのかもしれません。


定期的に通院、抜毛などをし、お薬の塗布を行っていただきたく思います。





以前にお話しさせて頂いた様に耳道には皮脂腺(油脂成分の分泌)やアポクリン腺(汗
腺)が存在します。
これらの腺における分泌量が通常より多いため耳道がしめりがちになり、バイ菌の住
みよい(増殖しやすい)状態になるのではないかと思います。
耳だれ症もこれらが一つの要因のようにも思います。
「水のあるところ生き物あり」というところでしょうか。


定期的に通院、耳道洗浄や薬の塗布などを行い、炎症が起きないように心掛ける。
特にシャンプーや頭部が濡れるようなことがあった後は、その日のうちか、なるべくお早めに予防医療を受けられることを
お勧め致します。
シャンプーをされる場合においても、なるべく耳に水が入らないように耳にちょっとした栓(綿花など)をしてあげ、
乾燥はタオルで拭き、ドライヤーを使用する場合は冷たい風で、温風を使わないようにされるのも家庭内予防医療のひとつだと思います。
このシャンプー時の留意点は、皮膚病(アレルギー性皮膚病・内分泌性皮膚病など)全般に言える事だと思います。

また、高温多湿の環境は避け、強い紫外線・直射日光も避けた方が良いように思います。
なぜなら、身体の表面温度(皮膚温)が高くなることで分泌が促進され、
分泌物が増加する→バイ菌が増加して炎症を起こす事に繋がるからです。
(毎年日差しが厳しくなる時期〜夏場において、耳に炎症を起こしたお子さんが多く来院されます。)

お食事におきましては動物性脂肪はなるべく避け、繊維質を摂るのも一つかと思います。
葉物野菜で生食出来る物はそのままで、茹でる物は茹でて、かたくしぼり食事に混ぜるのも方法かと思います。
※その際ハーブ系はひかえた方が良いと思います





これは読んで頂いた文字そのもので、本来あるべき場所以外に発達した脂漏腺が分布し全身的なべチャべチャ症とでもいいましょうか、やっかいな症状です。
この状態が耳道に存在するとなると埃(ほこり)などがくっつき汚れやすくなり
特に真菌(かび)や酵母の感染が多くなり、痒みをともなったり難治性になりやすくなるように思います。
先天性という言葉がついているだけでもあまりよい印象がない上に、本態性までついているのはさらに嫌なものです。
本態性とは、原因が不明であるが、特定の症状や病態をきたす状態を言います。
本態性振戦・本態性血小板血症・本態性高血圧・本態性低血圧・本態性高体温症などがありますが、悩まれ苦労されている方も少なくないように思います。


定期的に通院、耳道洗浄や薬の塗布などを行い、炎症が起きないように心掛ける。
高温多湿の環境は避け、強い紫外線・直射日光も避けた方が良いように思います。
なぜなら、身体の表面温度(皮膚温)が高くなることで分泌が促進され、
分泌物が増加する→バイ菌が増加して炎症を起こす事に繋がるからです。
(毎年日差しが厳しくなる時期〜夏場において、耳に炎症を起こしたお子さんが多く来院されます。)

お食事におきましては動物性脂肪はなるべく避け、繊維質を摂るのも一つかと思います。
葉物野菜で生食出来る物はそのままで、茹でる物は茹でて、かたくしぼり食事に混ぜるのも方法かと思います。
※その際ハーブ系はひかえた方が良いと思います





角化症。これは皆さんのお肌のケアでおなじみの言葉だと思いますが、
皮膚表面の組織が分厚く(肥厚)なったり、必要以上に多く作られたり(増殖)、
通常とは異なる変な形でつくられたり(形成異常)、
通常の皮膚の働きに支障をきたすことにより炎症を引き起こします。
あるいは剥がれた角質(フケの様なもの)が、格好のバイ菌の栄養源になったりで二次的にも良くないように思われます。
【フケだまりはダニのレストラン】です!ダニだけでは無いのではないでしょうか!?


乾燥を防いだりビタミンEなどの投与はお聞きになられたことがあるように思いますが、
やはり外耳炎(全身性は除き)においては定期的に通院し、耳道洗浄や薬の塗布などを行うことが最も予防になると思われます。





では、これら先天的な要因を持って生まれたお子さんにはどのように接してあげれば良いのでしょうか?
一番お聞きになられたい大切な事でしょう。
各項目に少しずつ記載させて頂きましたが、
どれもが先天性である以上、外耳炎という炎症が起きないように、あるいは、起きにくくしてあげるという予防医療が最も必要と思っています。

例えばお散歩後に足を拭くように、お散歩後や就寝前など、
一日一回でもかたくしぼったタオルで耳(耳介)を拭いてあげる。
そしてお耳の周りや頭などを(出来れば全身も)なぞって拭いてあげる。
ゴシゴシしなくても軽くでいいんです。なぞるだけでもそれだけでも良い効果が出るようにも思います。
「耳を拭くのはちょっと怖い・・・」
とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、みなさんがお風呂に入って、タオルで耳の(耳たぶ)内っかわを拭く様に、あるいはお子さんの耳をお風呂で拭いてあげる様な感じで良いと思います。
指にタオルを巻いて耳につっこんでもタオルの水をかたくしぼって垂れなければ心配ありませんから。
(指ではズボッと耳道の奥まで入りません!)
これだけでも立派な予防医療かと思います。
そしてこれらの方法は、アレルギー性皮膚炎を含む皮膚病においての予防医療の一つであることを付け加えておきたいと思います。
また、汚れ具合(べチャつく汚れなど)の変化や臭いの変化などのちょっとした変化に気が付き
そのことを主治医さんにおっしゃられることで先天的要因を考慮できたり、
早期の治療や予防にきっときっと役立つ事と思っています。
耳の中(奥)は主治医さんに診ていただく方が良い場面もあるように思いますので、
お家では指のとどく範囲で良いかと思います。





獣医師はまず、正しい診断を行い、ただたんに機械的に一般的な外耳炎の治療をするだけではなく、
本質を見抜く目を持ち、そして、体質(先天性:先天的要因)など根本的要因を見過ごさず、その子その子にあった必要な事柄を親御さんに伝える。
そして再発防止や予防における的確な指示指導が出来るか否かにかかってくる事だと思っています。
(口うるさく思われ、嫌がられめんどくさがられるかもしれませんが‥)
治せる?よくする?だけが良い獣医師ではないはずだと思っています。

外耳炎の治療においては特にお家の獣医さんのご理解と御努力・御苦労が必要不可欠な疾患の一つだと思っていただいても差し支えがないと思っています。
どんな病気・疾患でもそうだと思います。
「獣医師ひとりでは治療はできない!」


外耳炎において今後のお話しでもそうですが、
欧米の教科書のなかに外耳炎について書かれてある項の最後に以下の様な記載があります。

獣医師が動物を診断し、耳をきれいにし、薬剤を処方したとしても、
飼い主が家庭で正しく耳をきれいにし、治療しなければ、獣医師の努力は無駄になってしまう。


もちろん、これらも指導が不十分な獣医師の責任の一つではないかと私は思っています。
この記載を言い換えれば、

お家の獣医さんがいかに耳をきれいにし、指導を守り薬剤を投与したとしても、
獣医師が正しい診断・指導をしなければ、外耳炎は繰り返し再発することで、悪化し、慢性化し、
お家の獣医さんの努力は無駄になってしまう。


こういう事ではないでしょうか?
「人に責任をなすりつけるより自身の責任を自覚せよ」
そう気を付けたいものです。

次回は引き続き外耳炎における後天的要因(素因)をお話しさせて頂きます。




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