前回お話させて頂いた様に、
「[涙やけ]と[流涙症]は同等に扱われている。」とお話しさせて頂きました。
もちろんその通りですし、教科書的には間違いはありません。
が、ちょっと違っているかもしれませんが、今回は私なりの考えを織り交ぜながらお話しさせて頂きたく思います。

[涙やけ]はあくまでも[流涙症]において起こる現象の一つにすぎない。
と考えても良いのではないでしょうか。
ところが、説明する側にとってはこれほど便利なものは無いかもしれません。
何かでお知りになり、理解しているように思い、世間で通用する言葉になってしまっている[涙やけ]
目頭が炎症を起こし、ただれていようがいまいが、色が変わっていれば涙やけと説明され、
それ以上の説明も無く済まされてしまい、それでもわかったような気持ちになってしまっているのではないでしょうか。
その様な便利な言葉は数え切れないほどあるように思いますが、その一つではないでしょうか。





ではなぜ涙が溢れ出るという現象を起こすのでしょうか、
前回を思い出して頂きながら、簡単に列挙しておきます。
●反射性流涙
…角膜への絶え間ない刺激が涙液分泌量を増大させる。
・角膜過敏症:アレルギー・冷風過敏など
・角膜疾患:角膜潰瘍など
・眼内疼痛:ぶどう膜炎・緑内障など
・眼内異物や眼瞼・眼内異生物
・内反症や外反症
・睫毛乱生・異所性睫毛・睫毛重生
・隆起した鼻皺壁
などの刺激があげられる。


●非反射性流涙
…涙排泄系の異常により排出されずに溢れ出る。
・涙排出系(流路)のいずれかが、
 炎症・異物・外傷・形成不全・無形性などで閉塞している場合。
・涙湖(涙を一時的に溜め保持する場所)形成異常:外傷・眼瞼異常。
などがあげられる。

以上が涙やけという現象を起こす大まかな原因だといわれています。

もちろん原因をつきつめ、その原因を排除することが理想である事はおわかりだと思います。
が、一部の原因においては後遺症の問題を含め、難しい目標だと思っています。
原因をつきつめるにおいても様々な検査が必要になって来る事も言うまでもありません。
眼部観察・眼外部観察・涙液分泌量測定・前眼部検査・角膜上皮障害検査
涙液メニスカス形成確認・涙液通過試験・涙液流出路洗浄試験及び細菌学的検査など・・・

涙やけ一つにしても原因をつきつめようとすれば上記のような検査などが必要になって来るように思います。
親御さんが涙やけにおいて病院に行かれた場合、この様な事をお聞きになればどの様にお感じになられるでしょう?
もちろん、観察検査でわかるものもあるでしょうが、それだけでは無い事をおわかり頂けると思います。
眼をショボショボしていれば痛そうだという事でこれらのお話もお聞きになりやすいでしょうが、
何も症状が無く、ただ茶褐色に染まっているだけであればなかなか受け入れて頂くことが難しいかもしれません。





私はそれらの事をふまえ、涙やけとは、
治療しなければならない疾患(もちろん全てがそうなのですが)を除き、
お付き合いできる程の流涙症であれば、それは涙やけとしての現象として単独に考えられても良い場面があると思っています。
もちろん、親御さんとその理解を共有してのものですが。
親御さんと共有できた場合においては、その子その子の体質(アレルギー体質など)、
生活(食事・ストレス・環境など)状態、全身症状などを考慮し、涙やけがいかなる影響を及ぼすか、 あるいは涙やけとどの様にお付き合いすれば身体に良い影響が出るのかを考えた上で、 これからの生活を考えてあげることが良いのではないかと思っています。

[涙やけ]は流涙症である。
それで良いとは思います。
が、私は
[涙やけ]は[涙やけ]で考えても良い場合もあるように思っています。




次回からは、[涙やけ]としてお話をさせていただくつもりです。
なぜやける、どうしたらやけない、他との関連って、涙やけを注意すればどうして他の状態が良くなるの?
などを含め、一緒にひも解いていけたらと思っています。


次回までに皆さんに考えておいていただきたい事があります。
それは・・・
台所の流しに三角コーナーがあるとおもいます。
三角コーナー?古いかもしれません。今は無いのかな?
その三角コーナーがしばらくすると茶色くぬるっとしてくると思います。
どうして茶色くぬるっとしてくるのでしょうか?
ちょっと考えておいてください。