頭痛薬!酔い止め!病気の予防!
「わかってるよ、それぐらい。」
そうですよね。もちろんお分かりだと思います。
頭が痛ければ頭痛を止める(以下頭痛薬)お薬を飲みますし、
車酔いする方は乗車する前に酔い止めのお薬を飲みます。


では、病気の予防はどうでしょう・・?

例えば伝染病の予防注射しかり、フィラリア予防(犬・猫)も大切な病気の予防でしょう。
ただ、「今日は大切な日だから頭が痛くなるのは避けたい」だから頭が痛くも無いのに頭痛薬を飲む。
こんなお薬の飲み方をされるでしょうか?しないと思います。
もしされてる方がいらっしゃれば控えられた方が良いでしょう。
そんな飲み方をしていると、本当に頭が痛くなった時に効果がきっちり出なかったり、身体に良くなかったりする場合があります。
この様なお薬の使い方は、病気の予防とは少し異なる様に思います。

酔い止めにおいては、精神的・体質的な事などにより、
[ 酔う ]という症状が確実に、あるいはそれに近く起きうることが分かっているからこそ、服用される予防的な薬です。
ただ、乗り物酔いは病気であってもお付き合いしていけるものではないでしょうか。
(※頭痛でお悩みの方や動揺症をお持ちの方には申し訳のない表現である事をお許し下さい。)

お分かり頂けたことと思いますが、
頭痛薬や酔い止めなどの使用は、ご本人の意思において、ご自身に行う事が多く、
頭痛薬では「飲んでおこう、飲まないといけない」といった意思を持たない子供さんに、
例えば親御さんが「今日はこの子にとって大切な日」だからといって、
頭が痛くも無いのに頭痛薬を服用させる事は、あまり、いや、全く無いと思います。
ただ、もう一方の酔い止めは、車酔いする子供さんにとって安全なお薬を、子供さんが自分の意思で選択出来るようになるまで
親御さんが服用させる、愛情を持った上での予防行為であり、頭痛薬とはまた違った意味合いの物になる様に思います。

そして様々な病気の予防とは、その様な意思を持たない子供さんにおいては、
親御さんの愛情のもとで行う、大切な行為だと思います

犬や猫においては、犬自身・猫自身、人の子供さんと同じように、予防と言う意思は無いように思います。
(予防的自己防御機能はあると思いますが)
それは親御さんにゆだねられている最も大切な事の一つであると言っても過言ではないと思います
それゆえ、皆さんと一緒に病気の予防について、次の章では少し違った一面を考えることが出来ればと思っています。


例えば病院において、健康診断や定期健診で、今まで見当たらなかったものが現れた。
或いは、ある種の数値が高くなったり、低くなったり変動しだした。
これらは今問題が無いにせよ、動き出した身体の変化として、今後起きうる状態に対しての予防的対策を取る事が重要です
このように数字的にしろ、目に見えるものに対しては、「予防をしなくては!」と思いやすいのですが、
難しいのは、人においては生活習慣病の予防と言われる、日常生活における積み重ねが原因の一つとされる様な、いわゆる目に見えないものに対する予防ではないかと思います。(数字などが変化する前に、正常な時から予防対策をとることが最も望ましい。が、それ故に難しいことでもあるように思います。)
これは非常に重要な事であり、すべての病気に関与し、悪化させる源となる事を予防するという、
間違いのない必要な事の一つだと理解しています。

その一つには、子供さんには甘いものは控え、塩分の取り過ぎに注意し・・・・など。とても大切な事があります。
ただ、犬や猫において過度にお考え頂く事により、発育や健康上良くない状態になる場合もあると言う事を
頭の片隅に置いておくことも必要なのではないかと思っています。
様々な情報が入り乱れている中、これを与えてはいけない、あれをやってはいけない・・・。
色々な事を目にしたり、耳にしたりで親御さんも大変だと思います。
例えば犬や猫は塩分や糖分をやってはいけない、特に塩分は・・・など
先程書かせて頂いたように、人において、子供さんに塩分や糖分を控えてあげるのは良い事だと思いますが、まったくお塩もお砂糖もお入れにならないと言う事は無いと思います。 塩分も糖分も身体には必要不可欠な栄養素の一つである事を承知なさっているからだと思います。
塩分といえば、ある島の山羊は、深夜に山から海岸まで塩分補給に降りてくるそうです。
それだけに必要なものでもあるという事ではないでしょうか。

以前、塩分・糖分が良くないと思われた親御さんがペットフードに含まれている塩分や糖分に違和感を持たれ、
ご自身で食事を作り、成長期から自宅食(手作り食)を与えられたワンちゃんを連れて来られた事がありました。
内容はさておき、色々お伺いをさせて頂いたところ、
まったくお塩もお砂糖もご使用されずに今まで食生活されてこられたとの事。
もうお分かりですね。
塩分も糖分も健全な身体である為の必要不可欠な物なのではないでしょうか、
バランスのとれた栄養の上に健康はあり、
バランスが崩れた時に病気が現れるのも一つです。

この方のお子さんは食事の改善だけで、体調が良くなられ、そして今まで以上に活発になられたことはご理解頂けると思います。

お食事を親御さんご自身が作られるのは素晴らしい事だと私は思っています。
獣医さんと一緒に、目にした事、耳にした事、相談しながらその子その子にあった予防をしてあげて下さい。
これを与えたらこうなるよ!こんな事をしたらこうなるよ!
・・確かにそうかもしれません。
でも、反対に与えなかった為に起こってしまう身体の不調。
しなかった為に起きてしまう不都合。
与えなくてもしなくても、起こってしまう事もある様に思います。
例えばしなくても起こってしまう事のひとつに、塩分を過剰摂取されていない方が高血圧や腎疾患になられたり、
甘いものが嫌いな方が糖尿病になられたり・・・・・・。
ただその様な方が塩分の取り過ぎ、糖分の取り過ぎをすればより悪くなったかもしれませんが・・・・。


健康診断を定期的に受けながら、獣医さんと相談しながら、もちろん食生活も気を付けなければならない。
本当に考えさせられる、重要で難しい事だと思います。
色々な考え、ご意見があるのも重々承知しています。
ただ、愛情のもとで考え悩む事は決して無駄ではないと思いますし、悩むことが愛情の現れでもあると思っています。
しかし一人で悩み考えることは本当に辛いことでしょう。
だからこそ獣医さんをお使いになられるのが良いのではないでしょうか。
主治医さんがお子さんにとって一番良い答えを出してくれると思っています。
その子その子にあった予防(食生活など)をしてあげて頂きたい。
全ての情報がその子自身に良いことかどうか。当てはまっているのかどうか。
ちょっとでも気になることがあれば一人で悩まず、
実行する前に主治医さんに相談してみましょう。
そのためにも動物病院(主治医の存在的意義)があるのではないでしょうか。

大きな愛情があるゆえに起こってしまう病(やまい)、
獣医師においてもこれほど辛いことは無い、そう思っています。