皆さんは身体がいつもと違うと感じた時、
すべてを病気?と思ってすぐに薬を飲むのでしょうか。お注射を打ってもらいに行かれるでしょうか。
薬を飲まなくてもいいのかどうか少し考えるのではないでしょうか?
これはあくまでも人間だからであり、考えて自分自身の今の体調や今までの自分の体質や経験、そしてこれまでの出来事などを 考慮できるたまものだからでしょう。ただ余り我慢すると落とし穴もありますが。

そこで、「犬」「猫」はどうでしょう。
この子たちは、自分自身の考えや今の現状を言葉にして親御さんに訴える事が出来ない悲しさが有ります。

少し例をあげてみましょう。
食欲が無い、じっとして元気が無い。
親御さんにとっては本当にご心配でしょう。すぐに病院に連れていって早く元に戻って元気に走り回ってほしい。
当たり前のお気持ちであり愛情の表れでしょう。素晴らしい事です。
そしてそのお気持ちこそが、前回お話させて頂いた主治医とのつながりで有り、明るい未来につながる事だと思います。
ただ、単に注射を打ってもらい、薬を飲ませてすぐに良くなったように見える事を親御さんは望んでいるのではないでしょうか。あたりまえです。親御さんは一分一秒でも早く元気になってもらいたいものですから。
そこでちょっとだけ考えて頂きたい事が有ります。





そのお注射やお薬は何のためにそしてどのような理由から使用されたのか。
そして最も大事なのは[なぜ]この様な状態になっているか、だと思います。
実はこの[なぜ]がわかればお注射やお薬の使用を控える事や、減薬につながるからです。
私自身は、どの様なお薬にも必ず副作用が存在するものであり、[なぜ]がわからない場合においての対症療法としても、使用量を極力少なくしてあげたいと思っています。
主治医として[なぜ]がわからない場合、基礎データが有れば[なぜ]に、より近づけていく事が出来るのに気づくでしょう。
例えば、先程例にあげました、食欲がない、元気がない等の犬(女の子としましょう)の場合、
その子その子の発情周期(性周期)や生理(排卵前)出血日数や、無出血排卵の有無、或いは、排卵後の乳腺の腫脹(張り具合)、偽妊娠の有無など、そしてその子のそれぞれの時期における行動変化がわかっていれば、親御さんが、「この頃元気が無くあまりご飯を食べないんです。」とご心配になられて診察に来られた場合、上記に関連していれば、何もしないで様子を見てあげるのも医療の一つではないでしょうか。

もちろん主治医で有れば、その様な時でもお薬の必要なお子さんもおられることは重々ご承知の事でしょう。
少しでも薬に頼らない身体になってほしい。そして、いざと言う時に少しの量で済むようになっていてほしい。と思うのも主治医の大切な気持ちでしょう。
女の子は本当に一生懸命耐えて頑張ってくれていると思います。
語弊の無い様にもちろん男の子もです。
ただ、この様な無治療による経過観察は親御さんの多大なご理解が必要になり、危険もはらんでいます。
結果的にお薬を使わなければならなくなった時、早くに診てもらいに来たのに、あの時にお薬で治療してくれてればとっくに良くなっていたのに.....とお思いになられるのもごく自然な事だからです。
ただ、その様な時でも今後の診療に、或いはその子の体質を理解するのに、最も重要なものの一つであると言うこともわかって頂きたいのです。
ただし獣医師がその後もいつもお口ばっかりで、同じ結果、同じ内容、同じ治療で、その子独自のお話や、その子独自の治療(無治療診療も含め)などにおいて、あまり進歩がなければ考えた方が良いのかもしれません。