りんごの芯のところにある蜜、完熟の証でとっても美味しそうだけど実際は?

蜜の正体は、水分とソルビトールという糖の一種です。
収穫前の寒さが原因で、細胞の間に浸み出してきた物です。
実際はそれほど甘くなく、時間とともに甘味の強い果糖に変化していき、とっても美味しいりんごになるのです。

2月の中旬になると、たっぷり入っていた蜜もいつの間にかなくなってしまいます。
これは正常なりんごでは、ソルビトールがどんどん果糖に変化していくため、見えなくなってしまうからです。

この頃でも蜜がまだ残っているようだとかえって要注意。
内部が褐変する原因となってしまう事があります。

りんごの1年間の作業の中で、一番最初に始まるのが剪定作業です。

通常雪の中で、ある時は吹雪の中、ある時はまぶしい紫外線の照り返しの上で、時には腰まで雪に埋もれながら黙々と一人作業を続けます。
この剪定作業というのは、正確には整枝剪定作業といい、りんごの枝をいろんな技術を駆使して、切り整える作業です。

りんごの樹には一本一本違った性格があり、それに応じてそれぞれ違った切り方をする必要があります。
樹の生育の強さ、樹齢、品種、育った土地の性質、育った時の天候、病害虫の多少、栽培管理の仕方、周りの樹との間隔、枝の仕立て具合、その他様々な条件が、その樹のこれまでの生育に関係しており、それが今年のりんごにそれぞれ影響してくるのです。

そんな一本一本の樹に対して、今年はどうやって切り、来年はどうやって枝をもっていき、将来どういう樹に仕立てていくか予測をたてて、一本の鋸と鋏で、時には枝を切りつめ、間引き、芽を切り作業をしていく。
そういう作業が「剪定」といわれる作業なのです。

同じ切り方をしても樹によって性格が違うため、反応も全く違うことも多く、臨機応変に対応して一本一本精魂込めて作業を進めていく必要があります。
一つの芽から枝が伸び、そこに1個のりんごがなるまでに、最低3年は掛かります。
その3年後の秋、りんごのなる姿を予測して枝を切るのです。

しかし、切ったところにはりんごはなりません。
残した枝に充分に太陽が当たり、養分が充実し、且つ農作業が容易に出来るように枝を切るのです。
一度切ってしまったら、もう二度とその枝を繋げることは出来ません。
慎重に失敗のないように、且つ急いで、春の芽出しに遅れないように作業をするのです。

剪定作業は、樹の骨格と枝の配置を決定します。
日光の透過と風通しのよさ、そして樹のホルモンバランスを左右する事により、果実の量と品質に多大な影響を与えます。
また、根の活力にも変化を起こし、将来の生育にも多大な影響を与えます。

剪定作業は、まさに「りんご栽培の要」と言えるものであり、全ての基礎がこの剪定作業にあると言っても過言ではない、重要作業なのです。

「りんごの剪定を覚えるには、5万本の樹を切らなくては覚えられない。」と言われます。
一人の熟練した農家が、一日精一杯頑張ってもせいぜい20本くらい。

生涯、勉強です。



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