江戸時代から醸造業が盛んな尾州 知多半島。
三井酢店は、この地で初代三井興三松(よそまつ)が
酢造りに出会ってから約100年。
今も伝統の醸造法を守り続けて、
お酢を造っています。ゆっくりゆっくりと―。
時間をかけてお酢を醸す当蔵のお酢造りは、
時間と手間をかける
子育てのようなものだと思っています。
肌で感じる温度や湿度をもとに、
子どもの成長を見守るように、
ゆっくりとお酢が醸されていくのを待ちます。
こちらでは、当蔵が代々守り続けてきた酢造りを
ご案内いたします。どうぞご覧くださいませ。
今も伝統の醸造法を守り続けている
お酢の醸造蔵でございます。
代々受け継がれた
かけがえのないもの
お酢をゆっくりと発酵させるための木桶「発酵槽」には、「菰(こも)」をかけます。
季節ごとに必要に応じて「こも」の枚数を増やしたり、減らしたりすることで、温度の調整をするのです。 わらでできたこの「こも」は保温効果だけでなく、吸湿性、通気性に優れた天然素材です。
使っているうちに湿ってくるため、すべて天日で乾燥をさせています。
醸造蔵の壁は、土壁です。外壁は板張りとなっています。酢造りに大切なのが、温度管理。ですが、この蔵には「断熱材」は使っていません。
そして蔵の中にもエアコンもありません。
温度調節は季節やその日の天候をみて、蔵の窓を調節しています。もちろん一年中毎日のことです。自然のまま、酢を造ること。
それが先代から引き継いだ財産です。
当蔵では、この地方伝統のお酢・粕酢を醸造しています。酒粕を水に溶かしたものをこの「槽(ふね)」で搾り、お酢の元になるもの(「すまし」といいます)をつくります。
この後、「すまし」は醸造蔵に移され、ゆっくりと発酵されるのを待つのです。
当蔵に代々続く醸造法
静置発酵法
お酢の下になるすましを造る
当蔵では、この地方伝統のお酢・粕酢を醸造しています。酒粕を水に溶かしたものをこの「槽(ふね)」で搾り、お酢の元になるもの(「すまし」といいます)をつくります。 この後、「すまし」は醸造蔵に移され、ゆっくりと発酵されるのを待つのです。
最初の発酵過程お酢を造る
蔵の中はこのようになっています。最初の発酵過程で約四十日、ここで酢が造られています。
写真にある木桶は「発酵槽」です。ここに「酢もろみ」と「種酢」を仕込み、表面に酢酸菌膜を浮かべてお酢を発酵させます。
当蔵の酢酸菌
酢酸菌は、空気に接している部分でしか働きません。お酢は表面のみ、つまり空気に触れているところでしか発酵をしていません。発酵槽の中では、自然と対流が起きています。 お酢がゆっくりと循環して出来上がっていきます。そのために、出来上がるまでに日数が必要なのです。こうして時間をかけることによって、お酢にまろやかさや味わいが醸し出されてくるのです。
表面からゆっくり発酵していきます
お酢は、お酒(アルコール)から造られます。
アルコールをお酒に変えるのは「酢酸菌」という微生物のチカラです。この菌は酢造りではとても重要な役割を担っています。
この酢酸菌は、創業時から当蔵で活き続けている伝統の酢酸菌です。
この菌が持っている個性が、当蔵のお酢の味や香りになるのです。ですから、菌が住み着いている蔵はもちろんのこと、使っている道具もとても大切にしております。 私の酢造りは、主にこの酢酸菌が元気に働けるように見守ることなのです。
蔵の酢の発酵に適した温度に保たれます。
醸造蔵の中にはエアコンはありません。温度管理は毎日、その日の肌で感じた温度を元にして、蔵の窓を調節することで行っています。 朝、窓を開け、日が落ちたら窓を閉める。基本的には昔とほとんど変わらない方法で醸造をしています。当蔵では代々、「おまえが寒いときは酢も寒い。 おまえが暑いときは酢も暑い」と言われてきました。計器だけに頼らず、五感を大切にする。それが当蔵の酢造りの基本です。
熟成過程タンクでねかし、本物のお酢に
酢酸発酵が終わったお酢は、まだ出来上がりではありません。熟成タンクに入れて数ヶ月間熟成をさせます。 実は、熟成期間中もお酢はまだ生きています。そのため、毎日朝晩お酢の様子を見て、これ以上発酵しないようにしています。 ここでじっくり寝かせることで、よりまろやかな酸味が生まれます。熟成が終わったお酢は、殺菌、瓶詰めをして、お客様にお届けする製品になります。